藻岩地区に新たな小児科が誕生!
2024年11月OPEN「はれにこキッズクリニック」
藻岩地区内に住む子育て世代に大朗報が舞い込んだ。なんと川沿地区に新しい小児科が誕生した。名前は「はれにこキッズクリニック」。子どもたちに笑顔あふれる毎日を送ってほしいと名付けられた小児科だ。いったいどんな小児科なのか。発熱した2歳の息子を連れて潜入したところ、お世辞抜きに素晴らしい小児科だったので紹介したい。
新しい小児科?いったいどこに?と思った方もいるかもしれない。住所は川沿8条2丁目、石山通(国道230号)と藻岩小学校前の通り(川沿中央通・旧石山通)が交わる場所にあり、川沿八条郵便局や藻岩児童会館からも近い「吉田ビル」の3階だ。窓ガラスに小児科、小児外科の文字を発見。早速、ビルの中に入り、定員大人2名までのやや狭めのエレベーターで3階を目指す。
発熱した2歳の子どもを連れて訪れた時間は最終受付の17時30分。平日18時まで営業しているのは、何ともありがたい。ホームページから簡単に予約ができ、症状も事前にパソコンやスマホから入力できるため、スムーズに診断を受けることができた。待合室には子どもが好きな絵本が沢山並んでいて、待ち時間も感じないほどすぐに診察室に呼ばれた。
診察室に入ると、体温や症状の確認をした院長先生から、発熱の原因を突き止めたいか聞かれる。原因を突き止めるには、ウイルスの検査が必要だ。保護者が原因を明確にしたいかどうかをきちんと確認して、必要な検査を早急に行ってくれる。「他に困ったことはありますか?」と聞いてくれたので、つい「便秘が続いていて、お腹が痛いとよく訴える子なんです」と相談をする。すると、先生が「便秘も治しましょう」と言って、発熱の検査だけではなく、便秘のための処置までしてくれた。
予約時に入力した内容以外は相談はできないと思っていたが、保護者や子どもの悩みに寄り添ってくれるクリニックだと感動しながら、クリニックを後にした。
はれにこキッズクリニックの院長 藤村匠先生
一体どんな先生なのだろう…と気になり、後日、取材の申込をしたところ、快諾してくれた。先日、子どもがお世話になったことを伝えると、「既に潜入調査済みでしたか!いやはや、やられました(笑)」と頭をかきながら微笑む。
本籍は父の実家がある北海道栗山町。父の仕事の関係で岩手県で生まれ育ったが、誰に言われたわけでもなく、なんとなく「いつか北海道に戻りたい」と思っていた。地元の大学を卒業後、先輩の勧めもあって、東京の慶應大学病院で研修医を開始した。医師になって2ヶ月目に、あまり耳馴染のなかった小児外科に配属された。
小児外科の研修医として小さな命と向き合い始めた頃、新生児の手術や移植手術に立ち会った。その赤ちゃんが1年後、大きく成長して元気に歩いている姿を見た時に、「あんなに沢山の管に繋がれていた子が」と感激した。慶應大学病院での研修医生活の後、さらに2年の成人外科研修を終えた後に「やはり生涯やるなら子どもたちの未来を紡ぐ仕事だ」と小児外科医として生きていくことを選んだ。関東で13年にもわたり小児外科のキャリアを持っていた先生がなぜ藻岩地区に?ますます興味が湧いてきた。
なぜ藻岩地区に小児科を?
なぜ北海道に、なぜ藻岩地区に、好奇心が増す。「いつか北海道に戻りたいとなんとなく頭の中にあったんです。北海道の遺伝子なのでしょうか(笑)。たまたま藻岩地区でアレルギークリニックをしていた先輩が移転を考えているから、この場所で開業しないか?と誘ってくれて、妻に相談をしました。妻は大泉洋さんの大ファンだったということもあり、北海道行きを快諾してくれました」と藤村院長。
長いキャリアのある小児外科医として生きていく選択肢もあった。しかし、小児外科という場所で診られるのは、外科手術をせざるを得ない状況になった子どもたち。「もっと病気が発症する前、手術をする前の多くの子どもたちの役に立ちたい」と小児科医としての開業を決意した。
関東で最後にいた国立埼玉病院には、小児外科医は藤村先生のみだったが、小児科医が約20人もいたそうだ。沢山の小児科医の先生たちとの交流は今も続いていて、何か困ったらすぐに相談できるネットワークがある。プライベートでは、4児の父である藤村先生。12歳、10歳、8歳、もうすぐ3歳の4人姉妹のパパ。同じような年齢の子どもを持つ保護者の悩みにも共感しながら、診察をしてくれる点も頼もしい。
元気な子どもたちがもっともっと元気に過ごせるように
藤村先生のモットーは「病気の子どもだけではなく、元気な子どもたちがもっともっと元気に過ごせるようにサポートできるクリニック」だ。真のかかりつけ医とは何だろうと考えた時に、病気の時にだけ頼れる存在ではなく、元気な子のサポートもできる医師であるべきだと考えたと言う。
診察するのは、常に子どもというわけではだけではない。親子そろって発熱、症状がある時は、ウイルス検査を親も子もそれぞれしてくれる。子育て世代には嬉しいサポートだ。
うんちのスペシャリスト
わが子もお世話になったが、HPには「便秘外来」という項目も存在するほど、うんちに詳しいのも「はれにこキッズクリニック」の特徴の一つだ。小児外科時代に小腸移植や腸の研究などにも関わってきた先生。小児外科医として便秘診療で著名な中野美和子先生や松藤凡先生とも交流があった。
ずっと便秘に悩んできたというお子さんの保護者から「やっと便秘が解消できた」という声もいただく。適切なアドバイスや症状に応じた処方箋を考えて出してくれるので、ぜひ便秘で悩むお子さんに「便秘外来」をおすすめしたい。院内には超音波(エコー)検査も出来る機械があるため、詳しい検査もしてくれる。
とにかく楽に予約も決済も
冒頭でも少し触れたが、「はれにこクリニック」はとにかく予約がしやすい。公式ホームページの予約ボタンから簡単に予約ができ、公式LINEを登録すると、LINEの画面からも予約サイトに飛べる。公式LINEでは、子育てをしていると気になる感染症や病気の予防の仕方、豆知識なども定期的に配信される。
楽なのは予約だけではない。診察の最後にもらうQRコードを機械にかざすと会計ができる自動精算機があり、とても便利だった。
出張検診やオンライン診療も
帰り際、「帰りにもらってね。一人一つだよ」というコメントと一緒に、受付に折り紙で作られた可愛いキャラクターなどに目が留まる。川沿10条2丁目にある生活介護事業所「each」の利用者さん、スタッフさんたちが一つ一つ手作りをしてくれた折り紙だそうだ。「よく出来ていますよね。作る側ももらう側も子どもたち、子どもたち同士で喜んでもらえる連鎖ができるのが嬉しいです」と作品を手に取る。
藤村先生は障がいを持った児童たちを施設で診察する出張診察や、来院での診療が困難な方のためにオンライン診療にも力を入れていきたいとのこと。小児外科医の経験から、手術が必要かもしれない子、小さなころに大きな手術をしたお子さんの経過観察や相談なども受けている。
親だけでも、子どもだけでもない、「子どもを囲む人たち皆が安心できるクリニック」が藻岩地区に誕生した。「はれにこ」という名前のごとく、沢山の笑顔で溢れる小児科になっていくことだろう。
はれにこキッズクリニック
清潔感ある院内 実は床も壁紙も奥さんのDIYという驚き 1階にある「もなみ調剤薬局」で処方箋を受け取れる
取材・写真 御手洗志帆(アシスタント)