障がいを持つ子「スペシャルキッズ」のママをヨガでサポート
〜 鈴木瞳さん
川沿でヨガ教室「LOG YOGA」を開いている鈴木瞳さん。小6の長女とと小5の長男を持つ二児の母。長男を妊娠7カ月のときに670gで出産。脳性麻痺があり、全介助が必要な障害を持つお子さんだ。
妊娠経過は順調なはずだった。ところが、妊娠7カ月の検診の際、大きな病院に行くように言われ、そのまま緊急帝王切開手術となった。突然「障がい児のママ」となり、「男子高校生がただ歩いているのを見るだけで、「『あぁ、この子はああいう風にはなれないんだ』と一生分の涙を流した」という。
鈴木さんは元保育士。保育士として働いているときにヨガに出会い、出産でヨガから遠のいた時期もあった。しかし、障がい児である第2子の出産をきっかけに、「心も体も元気になれるヨガをもう一度したい!ヨガの良さを人に伝えられるようになりたい」とヨガ講師の資格を目指したとのこと。
家族の協力を得て、長男が2才の時にヨガ講師資格を取得し、自宅でヨガスタジオを始めた。
他のヨガ教室との違いは、 「障がい児ママ」対象のヨガクラスがあることだ。障がいのある子を鈴木さんは「スペシャルキッズ」と呼ぶ。スペシャルキッズのママ向けのレッスンへの想いを伺った。
「出産後、子どもが入院中は病院スタッフが寄り添い、話を聞いてくれるが、退院後そのようなサポートはなく、いきなり放り出されたような感覚だった」と当時を振り返る。
療育やデイサービス、小学校の通常級への受け入れ状況、すべてはママの口コミ頼りだという。
スペシャルキッズママ向けのクラスを作ることで、障がい児をもつママならではの悩みや大変さを共感し合う場所・情報交換の場になることを大切にしている。障がい児ママの気持ちがわかる瞳さんだからこそできる、空間づくりだ。
「普段、家族のために動き回ってるママが、自分を大切にする時間にしてほしい」と鈴木さん。
子育ては身体を使う機会が多い。
特にスペシャルキッズママは、子どもの介助で身体を酷使しているため、「ヨガは筋力がつき、心もリフレッシュすることができておすすめです」とヨガの効用を話す。
鈴木さんの教室に参加していた3人のママにも話を聞いた。
重症心身障害、結節性硬化症、良性腫瘍、脳腫瘍、早産児、脳性麻痺、自閉症、など。祝福されるはずの出産が壮絶な生活のはじまりだったママたちだ。子ども達が大きくなり、障がい児ママを助けるための活動をそれぞれが精力的にしている。
自らまだまだ大変な状況の中、なぜそこまでできるのか。
「今まで障がいがある子を育ててきたからこそ、つながった縁がたくさんある」「次は障がい児ママが困らないように自分が力になる番、助けになりたい」「我が子の存在が原動力になってる。たくさんの人と繋がれて我が子が障がい児でよかった」と、口々に答えてくれた。
障がい児として産んでしまってごめんね、という罪悪感があったという時期から、人をサポートしたいという気持ちになるまで様々な苦悩や葛藤が感じ取れた。
鈴木さんに今後の夢を聞いた。
「スペシャルキッズママを癒し、元気になるイベントを開くこと、全国のスペシャルキッズママたちとオンラインで繋がってヨガをしていきたい」と、現在オンラインコミュニティ開設に向けて準備を進めている。
鈴木さんがレッスンで必ずかける言葉がある。
「この時間だけは自分のためだけに使ってくださいね」
日々の家事や子育て、仕事の慌ただしさは一旦置いて、瞳さんの優しいヨガでリフレッシュしたい。
瞳さんのヨガレッスンは現在、
・スペシャルキッズママヨガ(西区「bird/leaf」)
・キッズヨガ(放課後デイサービス)
・親子ヨガ(新川地区センター)
・大人ヨガ(川沿自宅スタジオ・川沿MamiYOGA)
のクラスがあります。
(文・写真:丹治美樹 もいわ塾3期生 2024.9.22)