そば処 ひより 〜 十割そばが味わえる
藻岩山観光自動車道へ向かう道を300mほど登って行くと左に見えるお蕎麦屋さん。道路に面した店の壁には、手書きの看板の「十割蕎麦」の文字。店内は、四人掛けのテーブル席が2つ、三人掛けのテーブル席と二人掛けのテーブル席がひとつずつ。カウンター席が5席。カウンター席の窓からは、綺麗に手入れされた庭が見える。
川沿のこの地に移転してきたのは、2023年7月。それまでは、澄川の駅前で2016年から営業していた。店主は大川聖浩(あきひろ)さん。高校を卒業し、就職のため枝幸から札幌へ越してきた。
実家が旅館を営んでいたこともあり、いつか役に立つかもと求人のあった和食の店で働きながら和食の基礎を学んだ。
その後、東京の和食の店で10年働いたあと違う業種で働いていた。北海道に戻り親戚の建築業を手伝っていたとき「蕎麦屋をやろう」と思いついた。やると決めて、すぐに動いた。
以前働いていた飲食店は、和食の店だが蕎麦を出してはいなかった。蕎麦を打つ誰かに弟子入りしたわけでもない。ゼロからの挑戦だった。
まずは、つてをたどりながらそば粉の業者を呼んで蕎麦の打ち方を聞きいろいろな産地のそば粉を取り寄せ、試作を重ねた。そばつゆは、試行錯誤を繰り返し和食の店で学んだ実績と経験で美味しいと思えるものを作り上げ2016年、澄川に店を構えた。
2023年7月 川沿に移転をし「グルテンフリー」を掲げる。店で出す蕎麦、蕎麦つゆ、天ぷらには小麦粉は使用していない。今、使っているそば粉は沼田産と音威子府産。時々幌加内産を使用している。店主の一番のおすすめは「せいろ」。 シンプルで蕎麦とつゆの味が味わえるからだ。この日いただいたのは、天せいろ。
10割そばの豊かな風味が口の中で広がる。つるつるとした喉越しでついつい箸が進む。鰹、サバ、ウルメイワシなどからとった出汁の効いたそばつゆにとてもよく合う。天ぷらは、米粉とそば粉をブレンドした粉を使用しているので軽い食感を味わえる。その日の仕入れによって天ぷらの食材はかわるが、海老や季節の野菜などがいただける。
後日伺ったときは、音威子府産の田舎そばと天丼のセットをいただいた。音威子府産の田舎そばは、香りと味がしっかりしていて口の中に広がる。こちらの蕎麦もつるつるとした喉越しだ。10割蕎麦は、ぼそぼそしていてぶつぶつと切れるイメージがあるが、ひよりの蕎麦は、つるつるしていて切れることはない。
始まりは、思いつき。だが、全力を注いで作り上げた蕎麦は多くの人を魅了している。
(文・写真:中川美香 もいわ塾1期生)2024.12.13
そば処 ひより
〒005-0801
札幌市南区川沿1条3丁目9-51
TEL 011-206-9146
営業時間:11:00〜15:00(蕎麦がなくなり次第終了することもあり)
定休日:不定休(平日は要確認)土日祝は必ず営業している。